約3年にわたる地方生活の思い出
引っ越しがようやく終了しました……
何を隠そう私は転勤族。30代で退職をして定住する野望を秘めていますが、それはそれとして今は企業様の声ひとつで全国の拠点に飛ばされる運命にあります。家のローンを組む組まないに関わらず……
今般、転居を伴う異動が予定されておりまして、ようやく新天地に足を運んだところでございます。
さて、この道東と呼ばれる地域に居住して早3年、さまざまな思い出が呼び起こされます。湯船に浸かって浴室に漂う湯気を見てるとついついノスタルジックになる私の悪癖ですね。
せっかくなので、何かの機会に道東に来ていただけるよう、少し私の思い出をご紹介させていただきたく存じます。
1.屈斜路湖 古丹温泉(くっしゃろこ こたんおんせん)
北海道弟子屈町(てしかがちょう)という地域は人口7,000人に満たない町ですが、いくつもの魅力的な資源を備えた地域です。
泉質は草津温泉を上回ると言われる湯治向きの強酸性を持つ川湯温泉、
その源となる硫黄山、
酪農肉牛そばマンゴーなどの天下の農作物……
こんな錚々たるメンツの中、私のトップに君臨するのが冬の早朝の古丹温泉です。
日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖は、湖畔に多くの温泉を備えています。
その中でもこの冬の早朝にきて入る古丹温泉の何と素晴らしきことか!
写真をご覧いただいてわかる通り、真ん中の石で仕切られた男湯と女湯……(石の仕切りは奥まで届いておらず、実質混浴)
目隠しとしては心許ない柵……
ちょっと人のいるところでは入りにくい温泉かもしれません。
しかし、早朝に来るとさすがに観光客もいません。
湖水の暖かさから眼前で入浴している白鳥も、
目が醒めるような美しい冬の朝も、
外気で冷え切った身体を温める源泉掛け流しも、
全て独り占めできます!!
あの清少納言が枕草子で「冬はつとめて」という文章を書こうと思ったのは、冬の早朝の屈斜路湖を見たからというのはあまりにも有名。
私にとって北海道の冬の早朝のすばらしさを生涯で1番実感する瞬間が、この古丹温泉でした。
2.野付半島(のつけはんとう)
標津町(しべつちょう)、別海町(べつかいちょう)にかかる日本最大の砂嘴、野付半島にも魅力がいっぱいで最高です!!
有名なのは海水に浸食されて立ち枯れているトドワラだと思います。終末感漂うこの世の果て感は本当に幻想的で素敵だと思います。
そんな中でも特に魅力的なのが冬の野付半島です!!
冬の野付半島の何が素晴らしいって、内側にしっかり氷を張るので、見渡す限り氷しかない「氷平線」の上を歩けることです!!!
前述のトドワラに関しても、夏には遠くから見ることしかできないわけですが、冬には間近で観察することもできます!!
私の個人的な楽しみ方としては、ワカサギ釣りのような感じで、氷に穴を開けてコマイ釣りを行うことですが、それ以外にも楽しみ方が無限にある最強スポットなので、アクセスの悪さを上回って余りある魅力を享受できました!!
3.知床
言わずと知れた世界自然遺産知床。自然を楽しめるアクティビティも充実していますし、ガイドも施設も整っていて、北海道有数の観光名所です。
そこで特に私が好きだったのは、流氷浴です。一般的には流氷ウォークという名称で実施されることが多いですが、早い話が冬に流氷の上を歩けるというアクティビティです。
ドライスーツを着て、流氷の中をかき分けながら進んだり、飛び移ったり、その手に持ってみたり、景色が映える構図でカメラを構えたり……
無限大の楽しみ方が出来る贅沢な遊びでした!!
また冬に来て遊びたいなあ……
ちなみにこれ以外にも、野湯や絶景の坂、湖などハイクオリティな自然が溢れています。写真を趣味としていないので、実際に見るほどの感動を伝えられないのがもどかしいですが、ぜひ少しでも私の楽しさを共有できれば幸甚です。
4.かまくら&星見
私が以前居住していた最北の政令指定都市は豪雪地帯だったので、幼い頃から幾度となくかまくら作りに励んでいました。
この道東では、北海道の背骨 日高山脈を越えると乾燥した空気が降りてきてしまうため、あまり降雪量は多くないことが特徴です。
秋〜春の空は大変澄んでいて、カラッと晴れることが多いです。
そんな地域で数年に一度の大雪が降った日、半日にわたる雪かきを終えた私と友人の目の前にあったのは大量に積まれており、かつ湿気を含んで加工しやすくなっている雪の山でした。
私のレクチャーのもと、友人と2人でかまくら作りを行いました。
昼から作り始めて完成したのが日没のあと。
その夜、我々が好きなお酒を持ち込み、キャンドルライトに照らされて、互いの仕事ぶりを褒め合いながら飲んだ酒などは、大変良いものでした。
星空の下、かまくらの中でお酒を交わした夜を、私は10年後、20年後にもきっと思い出すのでしょう。
それ以外にも星見に出かける機会が多かったので、同行した友人が撮ってくれた写真をいくつか載せます。
私のわがままで月夜に行くこともあり、天体観測に適していない夜もあったようですが、夜の丘に立って星を眺めたり、月灯りだけで歩く雪道は冒険心を刺激してとても気分が高揚しました!
私はこれから東京勤務になるわけで、こちらにはこちらの楽しみも多そうでワクワクしています。
それと同時にやはり約3年間楽しみ尽くした思い出の地を離れるのは寂しいものです。
いつか残してきた道東での思い出を、ひとつひとつ丁寧に拾っていける日が来るのかな、なんて思いながら、
今日は1人お酒を飲んで、星の代わりに人間と企業の光が満ち満ちているこの夜を楽しもうと思います。
少し早いですが、おやすみなさい。